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■2003年12月30日(火)  良き新年を
 いよいよ新年に向けてのカウントダウン、もうすぐ目の前に新しい年が待っています。今年1年、HEARTLANDあっぷるの活動へのご支援、ご協力に感謝申し上げます。
 数えゆくこと8回目の新年、まだまだ始まったばかりの今と、まだまだ何一つ始められていない今を束ねながら、新しい年を迎えに行ければと願っています。

 どうぞみなさんにとっても良き年でありますように、お祈りいたします。

 追伸 しばし帰省の為に京都に帰ります。ダイアリーの更新も年明けの事となります。
    良いお正月をお過ごし下さい。ありがとうございました。

■2003年12月29日(月)  HEARTLAND通信30号
 今日からあっぷるはしばしの休息、年明けの1月5日を活動の再会としてしばらくの期間お休みとなります。日々お弁当製造に携わった彼らも休息の時、それぞれの時間の中で新しい新年を迎えゆく事になります。今年はHEARTLANDにとっても大きな節目の年、4月の社会福祉法人ハートランドとしての認可、6月の大熊由紀子さんを迎えての設立総会、9月の籠屋町・街の中の喫茶店のオープン、色々な事が多々あったそんな一年が間もなく暮れようとしています。何より日々のお弁当作りを継続してきた彼らの「力」は、大きな活動の軸として確かな日常を刻んでくれました。
 今年最後となったHEARTLAND通信30号も今日に郵送、書き綴った彼らの文字を掲載してみたいと思います。

◇日、一日と冬将軍が暴れていて毛布が布団が恋しい、朝が自分自身との戦いですが、これからも頑張りますので応援してください。

◇今年1年、本当に皆さま方には御礼申し上げます。早いものでもう少しでお正月です。皆さま方には良い年が来られる夢をお祈りいたします。来る人来る人も、また来る人も福の神。

◇年末年始、いよいよ年末の季節がやってきました。今年は良く頑張りましたけど、これからも頑張りたいです。

◇12月は師走で年末年始等であわただしい日々が続くのではないでしょうか。楽しく積極的に相手に対しての気持ちと、良いところを見つけて見習っていきたいと考えています。皆さまの温かい見守り・励ましに感謝いたします。これからもよろしくお願いします。

◇寒さが厳しい折、温かいお弁当を作っています。

◇あっぷるへ入り色々勉強させてもらえてありがとうございました。前は、夢や希望を語って来 ました。しかし、まだいろんな事に頼りすぎて、何を始めて良いのか解りません。でも空っぽ な目で、日柄ぼんやり過ごすのはもう沢山です。だからこれからは戸を開けて、一歩先に出て、自分を表現していきたいです。他の人に聞いたりするかも知れませんが、それがこれからの私のやり方だと思います。

■2003年12月28日(日)  喫茶店の最終日
 一足先に冬休みとなったあっぷる、昨日は籠屋町の街の喫茶店が最後の一日となりました。いつも通りの業務、何人かのメンバー、他の作業所のメンバー、西山きんこさんや理事など、多数の人が喫茶店を訪れてくれました。ずっとボランティアととして喫茶店の活動に参画して下さった山田さんも登場、にぎやかに最後の一日を無事に終えました。

 壁のギャラリーを飾っていた田中さんの抽象絵画も今日まで、展示物の搬出に夕刻訪れて下さいました。みんなでの展示品の片づけ、また白い壁となったギャラリーには年明けにきんこさんの絵が飾られゆく事になります。この2ヶ月の展示を行ってくれた田中さんに感謝します。

 あっぷるは今日から冬休み、年明けの活動再会は1月5日からのなります。

■2003年12月27日(土)  大いなる人
DSC00267.JPG 169×127 12K 約4年少しに渡ってこのHEARTLANDに日々を刻んでくれた大久保さんが今日で退職する事になりました。昨日はお弁当製造は無く朝からの給料ミーティング、午後は近くのカラオケボックスに移動、一年の慰労会と大久保さんの送別会となりました。

 今のHEARTLANDを立ち上げた頃、多くの人が関わった舞台がその最初のステージであるなら、その少し後、お弁当作り・メンバーとの共同作業・家族との交信・対外的な部分も含めたその全てにおいて「彼女」が居なくては成り立たなかった二つ目のステージが「今」を大きく支えてくれています。偶然のように大久保さんと出会えたあの頃、駆け抜けるように走り続けてくれたその力強い言葉達、全ての時間に感謝したいと思っています。

 
 長年、中心となってお弁当作りをしていたYさんが、骨折のため、1ヶ月も入院する事になりました。新しいメンバーさんも多く、朝の下準備が大変、いなくなって彼女の存在の大きさを感じました。障害を持って、就職やここ以外の場所で頼ることはあっても、頼られる事の少ない現実に「私や生きとっても何もええことない、寂しい、寂しい」と落ち込んでいた彼女。でも、ここではこんなにも存在感があって、頼る人も居る事を彼女に伝えなくては、そしてその事に少しでも喜びを感じてもらえれたらと思います。そして、それは彼女だけでなく、ここに通うみんなに言える事。
 料理もしたこと無く、決して完璧ではない私たち、野菜の大きさもバラバラで、1種類の日替わりしか無くて、冬にはお弁当も少し冷めていて、それでも買って下さる方がいる。多分、彼らの作っている意味をご理解頂いての事でしょう。その事に甘える事なく、一生懸命頑張りたいと思います。売買を通じて(大げさかも知れませんが)生きる意味を考えられる、そんな場所でありたいと願います。この世に存在しない方がいいなんて人、誰一人としていないはずですから。                    

 最後になりましたが、私は私的理由でこの場所を辞める事になりました。皆の事も気になるし、まだまだ出来て無くてやり残したこともあるけれど、今度は影ながら応援したいと思います。たぶん最後の最後まで仕事に追われることになりそうです。お世話になった方々へ、ご挨拶に伺うことも出来ないと思うので、紙面にてお礼を言わせていただきます。本当にお世話になりました。               スタッフ 大久保千恵

■2003年12月25日(木)  お弁当製造もあと2日
 今年も残すところあと僅か、あっぷるのお弁当作りもいよいよ最終コーナー、今日が最後のお弁当作りとなり、明日は籠屋町の喫茶店も臨時休業として「給料ミーティング」が予定されています。明日は午後からは「慰労会」も兼ねての打ち上げ、あっぷる近くに出来たカラオケハウスの時間をみんなで過ごして年越しとなっていきます。

 HEARTLAND通信30号の文字を数回に分けて掲載していきたいと思います。

 
 最近新しいメンバーが増えています。年齢・性別・病状・育ってきた環境、全て異なる人たちが集まってそれぞれの想いを抱えながらあっぷるに通っています。お弁当の製造、販売以外に毎日問題点や反省点を話し合いをしています。とことん話し合うこと、自分の考えや、他の人のことについてなど、話し合うことはとても疲れることです。しかし、人との関わりの中で傷つくことの多かった彼らが人の中で癒され、そして人の中で強くなっていくこと4が出来れば思っています。
 自分も作っていく、自分の病気と向かい合える自分、自分の体調を考えられる自分、
人の中で働ける自分、などそれぞれが様々な自分作りをしていく為に、それを応援し助けるHEARTLANDあっぷる。普通のお弁当を作って売るお弁当屋さん、普通のお茶が飲めてお弁当もある喫茶店になる事のない様、これからも毎日彼らの声を聞きながら皆で話し合い、皆のあっぷるになっていければと思っています。      スタッフ 原田純子 


 この前、初めて精神病院の中を見学しました。見学した病院は徳島では精神領域で進んでいる病院です。病棟の中の閉鎖病棟には施錠をするようになってます。そして普通の病院にはない保護室という部屋があります。入院している人の中には普通では考えられない何十年も入院している人がいます。犯罪者でないのに外の世界に出ることができないのです。患者さんはどういう気持ちでしょう?患者さん自身の問題、家族の問題もあるかもしれません。でも自分に置き換えると耐えられないと思います。内科や外科の病院ではないようなことが現実として起こっています。精神科だから仕方がないのでないと思います。どうすればよいのかわかりませんがすごく考えさせられました。
                       スタッフ 村田暁宏

■2003年12月23日(火)  HEARTLAND通信30号
DSC00095.JPG 169×127 15K  今年最後となるHEARTLAND通信30号が完成しました。なかなか毎月の発行に至らず、何とか今年発行出来た回数は4回、来年には「発信」する事の意味も再確認しながら通信の原稿作りに取り組んでいければと思っています。通信に限らず経理・法人化に伴う書類の整備にはなかなか行き届かない部分も多々あります。

 「必要」である事は十分に承知していても、お弁当作り・喫茶店業務・対外的な業務や講演依頼等、本来の通所者とのケースワークさえもなかなかままならない中、こぼれゆくものを眺めるだけが精一杯みたいな現実があります。その必要性や優先順位も含めて「何から始めていくべきか」を検討しなければと思っています。

 明日からはいよいよ今年最後の週、お弁当作りも残すところあと数日となってきたあっぷるの年の暮れが進みゆきます。

■2003年12月22日(月)  新しい職員と
DSC00161.JPG 163×122 14K 今日から新しい職員の武内さんがHEARTLANDに勤務してくれる事になりました。以前は徳島市内の一般病院でMSW(医療ソーシャルワーカー)に従事していたとの事、障害を持つ人たちと共に歩む仕事を希望されての今回の出会い、バタバタと慌ただしい始まりの一日でもありましたが、また新しい人と新しい時間を始めていく事になります。

 年内の活動もあと残り僅か、明日の祝日を挟むと本当に残り少ない時間となってきました。26日には今年最後の給料ミーティングを行い、午後からはあっぷるメンバー・スタッフ全員参加の「慰労会」を過ごし今年の終わりとなる予定です。

■2003年12月21日(日)  HEARTLAND忘年会
 毎年恒例となったHEARTLANDの大忘年会が昨夜行われました。あっぷるメンバー・スタッフ、そしてお手伝い下さっているボランティアの笠井さん、HEARTLANDに関係の深い方々や西山きんこさん、いつもの太陽と緑の会の方々、多数の人たちを交えての忘年会となりました。生憎欠席となった家主の岸さんは、丁寧にその始まりの前にビールを運んで下さいました。

 一頃の溢れんばかりの華やかさは和らいだとは言え、何かしっくりと座るみんなの姿と流れゆく時間を嬉しくも思いました。明日は日曜日、今年最後のお弁当作りの一週間、変わらぬ日々の中、お弁当を作り続けた彼らの1年が間もなくフィナーレを迎える時となります。
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■2003年12月18日(木)  マドレーヌ 井上先生と
 今日の午後は井上先生がHEARTLANDに来所、籠屋町のメンバーやお休みしている人を除いてみんなでマドレーヌの制作を行いました。カリスマ的な洋和菓子の井上先生、徳島社会保険センターや青少年センター、市民カルチャー講座などで講師を務められている有名な人でもあります。その木訥とした語り口調「今日は一度みんなとのお見合い」の意味も含めて初めての時間となりました。

 籠屋町の喫茶店がオープンして間がない頃に久しぶりの再会、はるか昔HEARTLANDを始めた頃に出会い、その頃思案していたお菓子作り、結局は話としてまとまる事もなくお弁当へと移行した、そんな過去の経緯がありました。今回の初めての時間、製品化や喫茶店での販売という部分も少しは含めての試みでもあるのですが、その辺りはナチュラルな流れの中に任せていたいとも思っています。また継続して井上先生とも模索しながら、形在る取り組みにとなっていければ幸いです。
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■2003年12月17日(水)  精神保健福祉士・徳島県支部
 精神保健福祉士・徳島県支部の支部長岸田さん(地域生活支援センター虹の里)から依頼があり、県支部定例学習会を2月に開催するとの事、精神科領域のみならず医療ソーシャルワーカー(MSW)の方々も交えての学習の機会、その時間の中で「相談援助」「地域生活支援」「ソーシャルワーク」に関しての講義を行って欲しいとの事でした。

 あくまで精神科ソーシャルワーカーの実践を基盤としての精神保健福祉士、国家資格という部分では「広く」「ポピュラリティーに」という事柄が含まれ、実際にはケースワーク援助業務をとても行ってはいないであろう人まで、今回の資格化は括りゆく弊害も生じつつあります。提議やマニュアルがある訳でもなく、雇い入れる病院や本人の資質にもよってその「必要な人」としての役割は如何様にでも変わりゆきます。

 ずっとPSWとして現場の空気を吸い、実践の業務を行ってきた人がその年齢と共に「教える側」に廻る、精神保健福祉士の養成大学や専門学校にあって、実際のケースワーク業務を若き人たちや後に続く現職の人に伝えゆく、この辺りの事柄が大きな「継続」としてその意味や必要とされるべく「内容」を構築していく事になっていきます。

 空っぽのままの状況、現場至上主義では決してありませんが、実際に精神科医療や精神保健福祉業務に携わった経験が皆無の人が伝えゆくものとは歴然として「差」が生じていくようにも思われます。2月の研修会、どんな風に現場での業務と「共有」していけるのか、その辺りを大きなテーマとして考えてみたいと思います。

 明日はケーキの井上先生が登場、午後からみんなで「ケーキ作り」の時間と互いの交流を深める機会が予定されています。

■2003年12月15日(月)  今年もあとわずか
 残すところ本当に早いものでもうあと2週間足らず、HEARTLANDの慌ただしかった日々も間もなく新しい年を迎えゆく事になります。あっぷるでは新規の新しいメンバーの登場、通所していた人の就職と日々動きゆく風景があります。
 社会福祉法人に伴う書類整備、再度きちんと眺めなければならない「予算書」やその執行状況と来年度に向けた懸案事項、座り込めば座り込めるのでしょうが、なかなかそういう訳にもいかない中に日々が繰り返されていきます。

 ずっと先週まで絶え間なく続いてきた講演も一段落、今年の残された時間の有効活用と、きちんとした「振り返り」を含みながら活動を考えてみたいと思います。
 きょうは久々にきんこさんとも対面、トレーナーが好評な様子でたくさんの注文を運び込んで下さいました。今週末の土曜日には忘年会が予定、一年の最後の意味も含めてまた多数の人たちがこの場所に集い来る予定となっています。
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■2003年12月13日(土)  徳島医療福祉専門学校にて
DSC00057.JPG 166×124 11K 昨日の午後、徳島市内から遠く離れた山間の街、勝浦町に出掛ける午後となりました。徳島医療福祉専門学校、作業療法・理学療法士を養成する学校、その授業の一こまとして精神障害者を囲む状況や就労についての講義を行ってきました。
 教科書の中に書かれている言葉とその現実、文字の行間を縫うような「リアリティー」を伝えゆくことも時に大切な部分となっていきます。焼け野原のような風景の中に立ち向かう彼らの就労とリハビリテーションの理念、どんな風に現実の中で執り行っていくのか、色々な問題提議も含めての授業となりました。また継続して学校での事業を行っていく事になります。

 徳島医療福祉専門学校  http://academic1.plala.or.jp/katsuura/

 夜は理事・評議員会を籠屋町の喫茶店で行いました。上半期の総括・第一時補正予算案の検証、社会福祉法人としての整え等、様々な議案を検討していく時間となりました。授産会計や新規職員体制、山積みされた議題を一つ一つといった形の理事・評議員会となりました。

■2003年12月11日(木)  仏門に
 泣きながらの受話器越しの声が届いたのは一昨日の事でした。あっぷるに通うメンバーからの電話「ごめんよ、飲みながらで、生きていてもしょうがないし人に迷惑をかけてるような気がして、これからどうしたらええ」そんな言葉を涙混じりに話していました。
 一日を挟んでの今日の面接「京都の仏門にでも入ろうと思って」そう語ったその人の風貌は短く刈り込んだ坊主頭に様を変えていました。「自分や役に立つ存在でも無いし、人に迷惑をかけてる、仏の近くに行きたい」そんな事を彼は呟いていました。

 ここ数ヶ月、何度も探しては辿り着いた「仕事」、上手くいこうとするその矢先に「仕事が出来ない」事を理由とされずに解雇、プライベートの辛い出来事も重なって力弱い今の姿がありました。病や障害を抱えているという現実、どんなに考えても取り戻せない過去、そんなリアリティーを前に何一つ「力」になれる言葉が見あたらず、ただ話を聞くことしか出来ない情けなさに支配されていきます。

 お金が稼げる場所でもなく、この場所に通い刻み続ける日々が約束された「幸せ」を連れてくる事でもなく、空虚なやりとりはなかなか目の前の人に重なりゆきません。この数ヶ月に限らず常に「精一杯頑張ってきた」その人、それでも弾かれる日々「仏門に入りたい」そんな風に語る言葉になかなか追いつけないもどかしさがあります。

 明日は勝浦の徳島医療福祉専門学校で授業を担当、夜には補正予算の検討も含めた理事会・忘年会が予定されています。

■2003年12月10日(水)  徳島新聞・朝刊紙面 アワーとくしま
DSC00050.JPG 166×124 13K 昨日の徳島新聞・朝刊紙面「アワーとくしま」12月号にHEARTLANDの活動が掲載されました。先週の四国放送に続いての機会、県企画総務部の方々に感謝申し上げます。間もなくの「障害者の日」にちなんでの掲載、知って頂く事に大きな力を貸して頂きました事をありがたく思います。以下は掲載紙面の原稿です。

人権尊重の社会づくりをめざして
〜障害者がともに生きる地域社会を〜     
障害のある人も、障害のない人も、お互いに認め合い、支え合いながら、地域の中でともに生活し、活動できる社会こそ当たり前の社会であるという考え方があります。ノーマライゼーションといい、広く社会に定着させていかなければならない理念です。ノーマライゼーションの理念が行き渡った社会を実現するためには、道路の段差などの物理的なバリア(障壁)、字幕・音声案内の不足などの文化・情報面でのバリアなど、様々なバリアを取り除くことが必要ですが、とりわけ大切なことは、障害に対する知識不足、無関心、偏見などからおこる、私たちの意識上のバリアを取り除くことなのです。

街の中で
今年9月、徳島市籠屋町商店街のなかに、小さな喫茶店がオープンしました。お店の名前は、「街の中の喫茶店あっぷる」。精神障害者の方たちが働ける場所として、社会福祉法人ハートランド(徳島市北島田1丁目46−4)が開店の準備を進めてきたお店です。
お昼時にもなると、16席の店内は、お客さんでいっぱいになります。てきぱきと働く障害者とスタッフ・ボランティア。お客さんとのやり取りに笑顔も覗きます。「精神障害者の問題は、『街の中』『人の中』で取り扱われる機会がまだまだ少ないので、ひとつのきっかけとして、そういうところで精神障害の問題が考えられるようになっていけばいいかなと」理事長の山下安寿さんは、商店街の中で喫茶店をオープンさせた理由をそう語ります。

みんなが集い、働ける場所を
 
 山下さんが徳島に来たのは13年前。県内の病院の精神科にソーシャルワーカーとして勤務していた山下さんですが、病院から離れた患者さんが、地域の中で集まる場所がないことに問題を感じていました。「みんながほっとできるような場所が、ありそうで実はなかなかなくて。精神の病を抱えている人は、家でいるか、あるいは病院でいるか、その両極端だったんです」。その真ん中あたりの場所を作ろうと始めたのがハートランドでした。
「障害のある人の一番大きな希望は『働きたい』ということなんです。」と山下さん。「あっぷる」で人気の日替わり弁当は、毎朝、ハートランドが運営する精神障害者小規模通所授産施設で作られています。喫茶店も授産施設も、みんなが集い、働ける場所をという障害者の希望が作らせたものです。

社会とのふれあいのなかで

 お弁当を通したふれあいも生まれています。あっぷるの弁当に添えられた障害者の自筆のメッセージ。そのメッセージを読んだお客さんから、激励や美味しかったという感想などが寄せられ、それがまた励みになっているのです。配達中に涙を流した障害者もいました。「こんな私が作った弁当を美味しいと待ってくれている。それが何よりうれしい」と。社会とのふれあいの中で自分にも役割があることに気づき、そのことが誇りや自信となり、精神の病が緩やかに回復していく。少しずつですが、そうした変化が芽生えています。

自然な心で

「見たこと・聞いたことがなかったものを自ら考えないように斥けていく。あるいは『特別なもの』としていく。そんな意識が、まだまだ多くの人にあると思います。お弁当を作ったり、喫茶店で働いたり、そういう姿を見せていくことで、『こういう人達なのか』『怖い人なんかではないな』ということに気づいてもらって、みんなの意識の中にある垣根を取り払っていきたい」。ノーマライゼーションを現実のものにするためには、私たち自身が、身近な暮らしの中の人権問題に無関心でいないこと。障害者を特別視することなく、自然な心で受け入れ、ふれあっていく山下さんとハートランドの活動がそう教えてくれます。

■2003年12月09日(火)  香川 コスモスの家 竹内さんと
DSC00019.JPG 169×127 14K 所用で香川県に出掛ける一日となり、その途中の時間を抜けて「コスモスの家」の竹内さんと久しぶりの再会の時間を持ちました。長年色々な機会で言葉を交わしてきた経緯、ひたむきな彼女の姿は、真新しい障害者の働くベーカリー「コスモスの家」へとつながり、多忙な日々を過ごしている様子がその言葉の端々から垣間見られました。

 コスモスの家 http://www.kagawa-swc.or.jp/view.rbx?cd=1243

 NPO法人、あえて社会福祉法人を選ばずに立とうとした彼女の思想、「見た目は華やかでようけ儲かっとるように思われるんわ好かん」と凛とした言葉、地域生活支援、ぎりぎりの場所に立ちそのリアリティーを醸し出す力強い言葉たち、その下で生き生きと働く精神障害を抱える人たちと数名のスタッフ、改装された店舗の中、全く以前と変わらない彼女の空気がそこにはありました。

 どんな風にリアリティーほ保つのか、絶えず闘うように転がり続ける彼女の背中は、ふと忘れそうになる原点回帰として大きな元気をもらったようで、本当に久しぶりとなった再会の時間をとても嬉しく思いつつ帰路に着きました。

■2003年12月08日(月)  HEARTLAND通信 続編
DSC02890.JPG 124×166 13K HEARTLAND通信29号の続編、12月中に再度、今年最後の通信を発行出来ればと思っています。

 喫茶店が始まった事で、新しい出会いが増えています。コーヒーを飲みに来て下さるお客様、お弁当を食べて下さるお客様。お弁当を手渡しする事よりもたくさん話す機会があります。またボランティアさんもそうです。ご縁があり手伝いに来て下さる方もいらっしゃいます。新しい出会い、それは彼らにとってとても苦手な事ではあります。慣れた人と慣れた場所でホッと出来るとは思いますが、新しい場所と新しい出会い、その中で新しい発見があります。話せる人が増え出掛ける場所が増える事は、本当に+だと思います。最初の緊張を通り過ぎ世界が広がる事が元気になれる気がします。 スタッフ 大久保千恵

 皆さまの暖かい応援のおかげで、あっぷる籠屋町・喫茶店もオープンして3ヶ月が過ぎました。美しく整った喫茶店の影には、お弁当を作る数も増え、狭い調理場で汗を流し働き、時間に間に合うようにと頑張っているメンバーがいます。包丁使うのは苦手でもフライパンでこがしても、心を込めてみんなで作っています。店頭に立ったり喫茶店に出るのも苦手でも、お弁当に添えるメッセージには「私が作りました」という想いも込められています。新しいことも増え、忙しくバタバタとした毎日ですが、北島田のあっぷるという場所でメンバーが頑張っている事、身近にあるものを見逃すことのないよう心がけていたいと思います。                         スタッフ原田純子

 籠屋町で喫茶店が始まりました。始まる前はみんな弁当作りのこと、喫茶店のこと、たくさん不安がありました。まだまだ課題はありますが、みんな慣れ、最初の不安はなくなったように思います。喫茶店ができたことで新しくボランティアの方がきてくださるようになり、ありがたいことだと感謝しています。この間テレビトクシマの取材がありました。そこでは、テレビに映ることに対して拒絶する人がいました。理由は家族に迷惑がかかるなど様々です。そこで精神障害に対して社会と当事者との間の壁を目の当たりにしました。この壁は絶対なくさなければいけないものだと思いました。これからも弁当作り、喫茶店よろしくお願いします。                 スタッフ 村田暁宏

■2003年12月07日(日)  四国放送 OUR徳島放送
DSC02898.JPG 120×160 11K 昨日の午前9時20分より四国放送・徳島県制作による「OUR徳島」のテレビ放送がありました。北島田あっぷるのお弁当製造の風景、朝の会・お弁当配達、そして籠屋町の喫茶店の活動紹介等、HEARTLANDの一日を網羅した番組となりました。県広報番組という事でもあり、障害者問題やノーマライゼーションの視点に立っての番組内容、県並びに四国放送の方々にお礼を申し上げます。

 また来週には県の広報誌に同様にHEARTLANDの活動が掲載、新聞の折り込み配布として活動が紹介されていく事になっています。発行予定は9日の火曜日となっています。

 先日徳島市内の小学校に侵入した男性は、措置入院となった事を最後にその報道は途絶えました。昨日香川県の東さぬき市で起こった事件も「精神科治療歴」があった事の様子がそのコメント・記事等から読みとれていきます。

 喫茶店という場所、ノーマライゼーションという問題、それぞれの側の権利、触法精神障害者と保安処分の問題、精一杯の姿を見せれば解決していくというだけの事柄でもなく、社会的な枠組みの中での取り扱われ方やその見られ方、また思案しながらの日々になっていきます。

■2003年12月06日(土)  HEARTLAND通信
DSC02647.JPG 160×120 12K HEARTLAND通信の郵送が先日終わりました。忙しさを幾たびも理由として、情けないことに今年は今までに3部しか作成出来ませんでした、なかなかWEB上の掲載も出来ず、発信していく事の意味を再確認しながら、迎える新しい年には何とか継続して通信を発行していければと思っています。

 HEARTLAND通信より 風の詩

「わしがどんな人生歩んできたか、大体察しがつくのに雇ってくれた、ありがたいなあ」そんな言葉を一人の男性メンバーが呟いていました。HEARTLANDあっぷる、お弁当製造創設の頃にずっとこの場所の形成に「力」を貸してくれた彼。建築現場の仕事に出向くためにこの場所を離れたのが3年前、忘年会や季節行事、時折立ち寄ってくれる彼の言葉が、その生活の推移や近況の報告を運んでくれました。新しい始まりとなった「街の中の喫茶店」の9月、「今仕事が不景気で何も仕事がないけん、また手伝うわ」そう言いながらあの頃と同じように真摯に喫茶業務を引き受ける彼の姿がありました。
 
 求人雑誌や職安通いを並行しての10月、やっと見つけた就職先は僅か10日程の時間を許しただけで、言葉すら無い「解雇通知」を郵送してきました。「厳しいなぁ、仕事を見てくれたらええのに、やっぱり人を見るんやなぁ」寂しそうに彼が呟いていました。再度の挑戦、ようやく辿り着いた新しい仕事、9月と変わらないままに喫茶店の仕事を終え、夕刻、彼は新しい仕事へと立ち向かう日々となりました。「ええ人でな、こんなわしにでも優しくしてくれる」心地よい疲れを身にまとった仕事初日の感想を彼はこんな風に伝えてくれました。

「喰うため」には余りにも貧しすぎる障害者地域共同作業所やあっぷるの日常、社会保障としての公的福祉や年金・生活保護等は法改正の下、ますます厳しい状況を増すばかりで何の慰めにもなりません。社会福祉法人として取り扱わなければならない「授産会計経理」、当然求められる手続きとしての事務処理や授産会計基準、厳密に処理を行えば行う程「通所者賃金」として彼らに手渡すお金は見つかりゆきません。遊ぶ事への経費や新規事業への取り組みも含めて、障害者地域共同作業所や小規模通所授産施設の「現実」に則した部分と、明かに隔たりやミスマッチがある書類の文面のみが浮き彫りになってゆくばかりの状況です。

 地域生活支援への取り組みは片方のスローガンとして語られながら、もう片方では厳格なまでにその縮小が進みゆきます。精神障害者社会復帰施設建設費の凍結、障害者地域共同作業所は「必要ではない」という声明、生きていく事の原点としての「お金」の部分や公的保障としてのサービス、慌ただしい「師走」を前にその深刻さは増すばかりで「穏やかに」時を過ごす事さえままならない様子を呈しています。病を抱えながら立ち向かう仕事や彼らの「暮らし」、そしてそこに向かい合う私たちの日々、もう一度「再考」すべき事柄の一つ一つを眺めながら、今年最後の月を過ごしたいと思います。

■2003年12月05日(金)  城北高校PTA人権研修会
 先日、徳島市内のグランドパレスで城北高校主催によるPTA人権研修会で講演を行ってきました。季節は今、人権週間であり間もなく迎える「障害者の日」も影響して、幾つかの場所でそういった問題の話が継続されていきます。城北高校はHEARTLANDの評議員でもある吉田隆代先生とは常に行き来をする日々、卒業してゆく学生達が不要となった制服を販売する「制服チャリティーバザー」その収益金が例年HEARTLANDに贈呈されている、そんな経緯も伴っての互いがあります。

 HEARTLANDや障害者地域共同作業所の活動への参加、学生を導くような形で行われゆく城北高校の取り組みは、ハンセン病の方々との交流や訪問の機会も含めて大きな社会学習として意義深きもののようにいつも思っています。

 人権・権利擁護・差別、言葉にすれば容易く聞こえゆくそれぞれではあるのですが、現実の社会の中、歴然として存在しゆく一つ一つの事柄は、人の尊厳や誇りに関わる大きすぎる事柄の一つ一つでもあります。「人権を尊重する」当たり前の事をあえてかざさなくてはならない「当たり前の無さ」がある事実、障害者領域の問題やハンセン病、社会的マイノリティーとされる問題、そのどれもが同じ共通項として、社会的な枠組みの中に「訳」を同様の取り扱われ方を持つ根幹の部分、当たり前の事が当たり前ではないという出発点から確認していきたいと願います。
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■2003年12月03日(水)  ヘルパー研修会
 今日は徳島市内で一日、ホームヘルパー研修会(県労働者福祉協議会)があり、授業形式で精神障害者の今日的状況やノーマライゼーションに関して話を行ってきました。離職中、そして今後の就職を控えてのヘルパー研修、向かい合う対象は精神・老人と違ってもその本質的な部分や関わる「人」が留意すべき点には相違はありません。
 介護保険・サービス・自分で選ぶこと、そんな言葉だけが一人歩きしている部分と実際の現実、制度や法が整いを見せたとしても「こぼれゆくもの」どんな風に解釈し近づけるも遠ざけるもその事柄に関わる「人」の影響力は大きなものがあるはずです。

 12月第1週が「障害者の日」を含む事もあって、人権や障害者に関する研修会が後を絶ちません。次週の講義、城北高校PTA人権研修会、徳島医療福祉専門学校での授業と幾つもの時間が続いていきます。

 明日は愛媛の徳永さん(ハートピアみなみ)が来徳、久しぶりに「地域生活支援」の言葉に触れたいと思っています。

■2003年12月02日(火)  かわら版
 HEARTLANDの活動を掲載している12月号の「かわら版」が発行となりました。喫茶店・お弁当を買われる方々への機関誌としてメンバー・スタッフの声を網羅した誌面となっています。

◇あっぷるに入って間もないのですが、来て良かったなと思います。入る前に人間関係が上手く出来るか、長続きするかなぁと少し不安がありましたが、ここにいると時間が経っているのがわからないくらい充実していると思います。まだまだわからない事だらけの私ですが、よろしくお願いします。
◇あっぷるに入ってもう二週間が経ちました。メンバーの方はみんな親切でとても働きやすいので良かったです。
◇今月末からメンバーとして加わりました。みんなが優しく接してくれて、あっぷると出会えて本当に良かったと思います。これからも宜しくお願いします。
◇僕はあっぷるへ来て大変良かったと思います。僕は以前食堂関係をしていたので、大変勉 強になりました。皆さまと一緒に仕事が出来、スタッフの方々が大変優しいので僕は一日一日仕事が出来ることが嬉しく思います。
◇私はご飯を炊けることが上手くいっています。これからも上手に炊けたらいいことだと思いま す。

今月になって新しい通所者の方々が増えました。新鮮な想いの言葉が書き記されています。

明日は一日講演予定、朝のヘルパー研修が終日、夜には城北高校PTA人権研修会と丸一日HEARTLANDの活動報告や精神障害者福祉の現状を語る事になっています。

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